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Q&Aセルロースファイバーとは?メリット・デメリットや注意点

セルロースファイバーとは?メリット・デメリットや注意点

セルロースファイバーは、住宅建築において注目されている断熱材です。防虫性能が高いことや結露防止効果が評価され、住宅の注文時に採用されることが増えています。しかし、デメリットがあることも確認しておくべきです。

当記事では、セルロースファイバーが人気を集める理由、注意すべきデメリットについて解説します。魅力的な点が多い一方で、デメリットを事前に把握していないと、後々後悔することにもなりかねません。長期的に住むからこそ、後悔しないためにセルロースファイバーの特徴をしっかりと確認してみましょう。

 

1.セルロースファイバーの断熱材の特徴

セルロースファイバーは、数ある断熱材の1つです。ほかの断熱材と同様に、住宅の天井や壁に使用することで熱の移動を抑え、外気の影響を受けにくくする効果があります。

以下では、セルロースファイバーの特徴について紹介します。

 

1-1.アメリカで50年以上使われている

セルロースファイバーは、1950年代に開発された断熱材で、1970年代からアメリカで広く使用され始め、現在に至るまで50年以上にわたり活用されています。

アメリカでは、住宅に使われる断熱材として35%のシェアを持つ素材であるものの、日本国内でのシェア率は、2~3%と言われています。アメリカに比べると、日本ではまだセルロースファイバーの認知度が低いのが現状です。

 

1-2.再生紙を主成分としている

セルロースファイバーは、新聞古紙を主成分とする環境に優しいリサイクル素材です。環境配慮型断熱材として知られ、回収した古紙を木質繊維に加工して断熱材として使用します。

セルロースファイバーの断熱効果は、さまざまな太さの木質繊維が絡み合って空気の層を作り、熱を遮る効果を発揮していることで得られます。また、繊維の1本1本に自然な空気胞が含まれていることも、断熱効果を高める要因とされています。

セルロースファイバーの加工過程では、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドのような人体に悪影響を及ぼす物質を発散する添加剤は使用されません。そのため、セルロースファイバーは地球環境に優しいだけではなく、人にも優しい素材と言えます。

 

2.セルロースファイバーの断熱材のメリット

セルロースファイバーは現在、日本ではメジャーな断熱材ではありませんが、 近年、徐々に注目され始めています。

セルロースファイバーの メリットは、以下の通りです。

 

2-1.防虫性能が高い

セルロースファイバーには、製造の段階で「ホウ酸」が添加されます。ホウ酸はゴキブリ対策として広く使用されており、住宅の劣化を招く原因の1つである害虫のシロアリに対しても、高い毒性を持つ物質です。そのため、セルロースファイバーを使用することで、シロアリに対する防虫効果が期待できます。

セルロースファイバーには、約22%のホウ酸が含まれていると言われており、これが断熱材の中での防虫効果を発揮します。シロアリがホウ酸を摂取し、それを巣に持ち帰ることで、巣内の他のシロアリにも効果が広がるとされています。

 

2-2.結露防止に役立つ

セルロースファイバーは、新聞古紙に加えて木材チップやダンボールなど、もともと「木」を原料する製品を用いて作られています。木材は湿気を吸ったり吐き出したりする性質があるため、セルロースファイバーは優れた吸放湿性を持ち、結露防止に役立ちます。

結露は住宅にとって劣化を招く原因となります。結露によって住宅が劣化すると、大規模な修繕が必要になる可能性があるため、湿気・結露対策が重要です。セルロースファイバーは、素材の中に10%以上の水分を蓄えられると言われているため、結露防止効果が期待できます。

 

2-3.防音効果が高い

セルロースファイバーの繊維は複雑に絡み合い、空気層を形成しています。この空気層と繊維内の微細な空気の穴が音の振動を吸収するため、セルロースファイバーを使用することで優れた防音効果が期待できます。

断熱材密度が高いほど防音効果が向上します。セルロースファイバーは、断熱材の中でも特に高密度で、天井や壁に充填されるため、防音性能が評価されています。実際にアメリカでは防音素材として、空港近くの建物など騒音が想定される場所で広く使用されています。

日本でも、空港や線路沿い、幹線道路沿いなど、騒音が想定される住宅にセルロースファイバーを採用することは効果的な手段です。また、室内の音漏れ防止にも役立つでしょう。

 

3.セルロースファイバーの断熱材のデメリット

セルロースファイバーは近年注目を集めているものの、デメリットも存在します。どのようなデメリットがあるのか把握しておき、実際に住宅に導入するか判断しましょう。

セルロースファイバーのデメリットとして、以下の3つが挙げられます。

 

3-1.コストが高い

セルロースファイバーのデメリットの1つは、ほかの断熱材よりもコストが高い点です。一般的に断熱材の施工価格は、手間がかかるほど高くなる傾向があります。セルロースファイバーの場合、専門的な知識と技術を持つプロフェッショナルによる施工が必要であり、専用機材も必要なため、施工費が増加します。

さらに、壁内での密度を高く保つために、素材の使用量が増えることから材料費も他の断熱材より高くなる場合があります。

 

3-2.壁内で沈下が起きる

セルロースファイバーは、弾力性がある柔らかい素材です。柔らかい素材は経年によって徐々に位置がずれる可能性があり、壁内で沈下するケースがあります。

沈下は、素材自体の重さによる圧力が原因となる場合や、建物の揺れによって生じることが多いです。たとえば、風圧による揺れや住人の移動による振動が影響することがあります。

セルロースファイバーが沈下すると、壁内部に隙間が生じ、壁内結露が発生するリスクが高まります。結露はカビの発生を誘引し、柱や床などの住宅の木材を腐食させる可能性があります。そのため、セルロースファイバーを使用する際には、壁内で沈下しないように適切な施工を行える専門業者に依頼することが重要です。

 

3-3.隙間から断熱材が落ちる

セルロースファイバーは綿状で形がない断熱材です。天井や壁に隙間があると、そこから素材が落ちてしまう可能性があり、素材が落下した場合には再度業者に依頼して修繕する必要があります。

セルロースファイバーが隙間から落ちると、天井や壁内に空間ができてしまい、外気の影響を受けやすくなります。これにより断熱材の効果を実感しにくくなるため、施工の際にはセルロースファイバーが落ちる隙間がないか、施工業者と事前に確認することが重要です。

 

4.セルロースファイバーの断熱材を後悔しないための対策方法

セルロースファイバーのデメリットは、適切な業者を選ぶことで対策できます。たとえば、顧客の予算に合う施工プランを提案してくれる業者です。

顧客の要望を重視したプランを適切に提案してくれる業者であれば、セルロースファイバーの使用を無理に推奨することはありません。施工にかかるコストと顧客の予算を考慮した上で、セルロースファイバーの採用を一緒に検討してくれるでしょう。

素材の沈下に関しては、セルロースファイバーに精通した業者を選ぶことが大切です。知識と技術を持ち、取り扱いに慣れている業者か依頼前に確認しましょう。施工実績が豊富な業者であれば、安心して任せられます。

 

まとめ

セルロースファイバーは、防虫性能や結露防止、防音効果といった優れた特性を持つ魅力的な断熱材です。アメリカでは50年以上にわたって使用されているものの、日本におけるシェア率は2~3%とされ、まだ広く普及しているとは言えません。

セルロースファイバーが広まっていない理由の1つとして、ほかの断熱材に比べてコストが高い点が挙げられます。施工には専門職による作業や専用の機材が必要で、これがコストを押し上げる要因となっています。そのため、適切な施工ができる業者に依頼し、セルロースファイバーの採用が必要かどうかを一緒に検討してもらうことが重要です。

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