注文住宅Q&A

  • TOP
  • 注文住宅Q&A
  • グラスウールとは?メリット・デメリットや注意点・他断熱材との違い

Q&Aグラスウールとは?メリット・デメリットや注意点・他断熱材との違い

グラスウールとは?メリット・デメリットや注意点・他断熱材との違い

グラスウールは、リサイクルガラスを主原料とした無機繊維系の断熱材で、住宅をはじめ自動車や空調機器にも幅広く利用されています。その優れた断熱性や吸音性から、環境に優しい素材としても注目されている素材です。また、低コストで導入できる点や、人体に対する安全性も高く評価されており、さまざまな建築資材の選択肢として人気があります。

しかし、その一方で耐水性や施工の難易度に注意が必要です。当記事では、グラスウールのメリット・デメリットを詳しく解説し、ほかの断熱材との違いにも触れながら、導入を検討する際のポイントをご紹介します。

 

1.グラスウールとは?

グラスウールとは、リサイクルガラスを主原料に繊維化し、綿状に加工した素材です。

出典:硝子繊維協会「グラスウール(短繊維)の特長/断熱性」

家庭から回収される資源ごみや、建物の改修・取り壊しによって出たリサイクルガラスなどを使用しており、ガラスの強さと繊維の柔らかさを持ち合わせています。

グラスウールは、断熱性や吸音性などに優れているほか、人体への安全性が高いといったさまざまな特徴がある素材です。日本に限らず世界中で使用されており、住宅用資材としてだけではなく、幅広い分野で活用されています。たとえば、自動車や空調ダクトといった設備機器の騒音対策のほか、保温・保冷剤として活躍中です。

 

1-1.ロックウールとの違い

グラスウールによく似た素材に、ロックウールがあります。どちらも「無機繊維系断熱材」と呼ばれる種類の断熱材で、断熱性や吸音性などの性能を持ち合わせており、混同されることも珍しくありません。

それぞれの違いは原材料です。グラスウールは、リサイクルガラスを主原料とするガラス由来となっており、石灰石などもくわえて作られます。対して、ロックウールは鉱物由来で、玄武岩といった天然岩石や溶鉱炉で生成された溶融スラグなどを主原料にしている素材です。

原材料は異なるものの、どちらも最終的に繊維状に加工して作られます。くわえて、素材に含まれる空気によって断熱効果を得ているのも同じです。

 

2.グラスウールのメリット

グラスウールがさまざまな用途で用いられるのは、導入するにあたって多くのメリットがあることが理由です。実際にグラスウールを採用している工務店やハウスメーカーは多く、住宅用資材として活用されています。

グラスウールのメリットとして挙げられる点は、主に以下の3つです。

 

2-1.低コストで導入できる

グラスウールは、輸送コストが低く、材料費が安く済む素材です。低コストで優れた断熱性能を住宅に取り入れられます。ロックウールなどのほかの断熱材と比べても、価格を抑えた上での導入が可能です。場合によっては同等の断熱性能を持つ素材でも、グラスウールを選ぶと半分ほどのコストで済むと言われるケースもあります。

またグラスウールは、フェルト状やボード状になったものを壁に詰め込む方法で施工する素材です。現場発泡系と言われるウレタンフォームや吹き込み用の断熱材などと異なり、施工時に専用の機械を使う必要がありません。そのため、素材そのもののコストだけではなく、施工コストを抑えられるメリットもあります。

 

2-2.人体・環境に優しい

グラスウールは「国際がん研究機関」によって、発がん性リスクが低いことが確認されています。国際がん研究機関とは名前の通り「がん」を専門とする機関で、その活動目的は発がん性物質のメカニズムの解明や発がん原因の特定などです。

出典:農林水産省「国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について」

グラスウールは、世界保健機関(WHO)に含まれる国際がん研究機関に安全性を認められており、人体に優しい素材として世界的に高く評価されています。

また、グラスウールは環境に優しい素材です。資源ごみや建築現場から出たリサイクルガラスを主原料としているように、不要になったグラスウールも再利用によって繰り返し使用できます。製造から運搬、再利用までの工程において二酸化炭素の発生量が少ない点も、環境に優しいと言えるポイントです。

 

2-3.性能面に優れている

グラスウールは、下記のようなさまざまな性能を持ち合わせています。

・断熱性

一定の空気を素材の中に含ませて固定できるため、高い断熱性を得られます。冷暖房の使用回数を減らして、電気代削減につなげることも可能です。

・吸音性

素材に含まれる空気層によって吸音効果を得られます。実際に音の反響を抑える目的で音楽ホールや劇場などにも導入されており、石膏ボードのほかコンクリートと組み合わせると、遮音性能の向上が見込めます。

・シロアリ予防

ガラス繊維であるグラスウールは、シロアリに食害されにくい素材です。グラスウールの導入により、食害などの被害を受けにくくなります。

ほかにも不燃性で燃えにくく、高温でも変形しにくいといった優れた性能も持っています。

 

3.グラスウールのデメリット

グラスウールには住宅用資材として優れた性能がある一方、デメリットがあることも事実です。メリットを十分に生かして住宅に取り入れられるよう、デメリットも把握しておきましょう。

グラスウールのデメリットは、以下の通りです。

 

3-1.耐水性が低い

グラスウールは、素材そのものに大量の空気を含むことで、熱を伝えにくくしている断熱材です。水に濡れたり湿気を含んだりすると、空気を保持できず断熱性能が低下するという耐水性が低いデメリットがあります。

濡れたり湿気を含んだりしたグラスウールは、重くなってずれ落ちる場合があるほか、カビが発生することも考えられる状態です。結果的に建物全体の劣化を招く可能性も否定できません。特に日本は、湿度が高い日が多い高温多湿地域のため、グラスウールを導入する際は防水対策が必要です。

 

3-2.耐久性が低い

グラスウールは、経年劣化しにくい特徴があります。適切に導入できれば、長期間の使用が見込める素材です。しかし、施工状況によっては耐久性の低下を招くため注意しなければなりません。

たとえば、防水対策が適切に行われておらずグラスウールが水に濡れてしまった場合、断熱性能は低下し続けてしまいます。また、施工部分にグラスウールを押し込みすぎる、もしくは隙間ができている場合も断熱効果を保てません。

素材そのものは劣化に強くても、施工次第で耐久性が大きく左右されてしまうのは、デメリットと言えるポイントの1つです。

 

3-3.施工の難易度が高い

グラスウールは、壁の中に充填して使用する素材です。断熱効果を十分に発揮させるには、隙間なく詰め込まなければなりません。ただし、素材を押し込みすぎても断熱性能を下げる原因になるため、グラスウールの施工は難易度が高いと言われています。

グラスウールの断熱性能を長期間にわたって保たせるには、適切に施工できる技術が欠かせません。素材の効果を十分に得るためにも、施工を頼む業者は慎重に選ぶよう注意が必要です。

 

4.グラスウールを選ぶ際の注意点

グラスウールは、種類によって断熱性が異なるため注意しましょう。選ぶ際は、特に「密度」と「繊維の太さ」を確認するのが大切です。密度が高いグラスウールほど、素材に含まれる空気が細分化され、熱が移動しにくくなります。また、繊維は細いほど空気が細分化されるため、断熱性が高まるのが特徴です。

グラスウールの導入を検討する際は、信頼できる施工業者を選ぶのも重要です。グラスウールは適切に施工できなければ、水や湿気を含みやすくなり本来の性能を発揮できません。導入にかける費用を無駄にしないためにも、適切な施工技術を身につけた業者を選びましょう。住宅の設計や環境にあわせた施工が期待できる、実績豊富な業者を選ぶと安心です。

 

まとめ

グラスウールは、リサイクルガラスを主原料とした環境に優しい断熱材で、優れた断熱性と吸音性を持つ素材です。低コストで導入できる点や人体に安全なことから、住宅用資材として幅広く活用されています。

ただし、耐水性が低く、施工に注意が必要な点も考慮しなければなりません。グラスウールの効果を最大限に引き出すためには、信頼できる施工業者を選び、適切な施工を行うことが重要です。今回紹介したメリットとデメリットを踏まえ、最適な断熱材選びの参考にしてください。

開催中の見学会・イベント

トップに戻る