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Q&Aフェノールフォームとは?メリット・デメリットや他断熱材との違い

フェノールフォームとは?メリット・デメリットや他断熱材との違い

断熱材と一口に言っても、グラスウール、ロックウール、ウレタンフォームなど、さまざまな種類があり、どれを選べばよいのか迷ってしまう方も多いかもしれません。特に近年注目を集めているのが「フェノールフォーム」という断熱材です。名前を聞いたことはあっても、具体的にどのような素材なのか、ほかの断熱材と何が違うのか、よく分からないという方もいるのではないでしょうか。

当記事では、フェノールフォームとは一体何なのか、特徴やメリット・デメリットに加えて、ほかの代表的な断熱材との違いについても分かりやすく紹介します。

 

1. フェノールフォームとは?

フェノールフォームとは、フェノール樹脂に発泡剤や硬化剤などを加えて発泡させ、板状に成形した断熱材です。

フェノール樹脂は、フライパンや鍋の取手部分などにも使われており、黒くて硬い性質が特徴の樹脂です。この樹脂を発泡させることで、高い断熱性能を持つ素材となります。

フェノールフォームの主な特徴は、以下の通りです。

  • 非常に高い断熱性を持ち、薄い素材でも十分な断熱効果を発揮するため、住宅の外張り断熱などに最適です。
  • フェノール樹脂自体が熱に強く燃えにくい性質を持っているため、火災が発生した場合でも、延焼を防ぐ効果が期待できます。
  • 熱的・化学的に安定した性質を持っており、経年劣化しにくいという特徴があります。

 

2. フェノールフォームのメリット

フェノールフォームは、高い断熱性、難燃性、安定性など、多くの優れた特徴を持つ断熱材です。発泡ガスには、地球温暖化係数の小さい炭化水素ガスを使用している製品が多く、環境に優しい断熱材としても注目されています。

以下では、フェノールフォームの主なメリットを4つ紹介します。

 

2-1. 断熱性や難燃性が高い

フェノールフォームは、発泡プラスチック系断熱材の中で、優れた断熱性能を持つ素材です。熱伝導率は0.019~0.036W/(m・K)と非常に低く、ほかの断熱材と比較しても圧倒的な数値です。薄い素材でも十分な断熱効果を発揮し、冷暖房効率も大幅に上がるでしょう。

フェノールフォームの原材料は熱硬化性樹脂で、発泡プラスチック系断熱材の中で熱に強いのはフェノールフォームだけです。火災が発生した際にも延焼しにくく、燃焼時に有毒ガスがほとんど発生しないため、避難時の安全性が向上します。

 

2-2. 性能劣化が少ない

フェノールフォームは、熱的・化学的に安定した性質を持っており、経年劣化しにくいのが特徴です。長期間にわたって断熱性能を維持できます。

ほかの断熱材では、時間経過とともに断熱性能が低下する場合がありますが、フェノールフォームはそうした心配が少ないため、長期的なコストパフォーマンスに優れています。

 

2-3. 水分や湿気に強い

フェノールフォームは、グラスウールやロックウールなど、ほかの繊維系断熱材と異なり、水分をほとんど吸収しません。そのため、湿気による性能低下やカビの発生を抑制できます。特に湿気の多い地域や、浴室・洗面所など水回りでの使用においては、大きなメリットとなるでしょう。

吸水性が低いので、壁内結露のリスクも抑えられます。

 

2-4. 施工性が高い

フェノールフォームは軽量であるため、運搬や施工が容易です。結果的に、作業効率の向上や工期の短縮につながります。

また、フェノールフォームは板状だけでなく、さまざまな形状に加工できるため、複雑な形状の場所にも対応可能です。その結果、隙間なく断熱でき、家全体において高い断熱性能を実現できます。

 

3. フェノールフォームのデメリット

フェノールフォームは多くのメリットを持つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。

フェノールフォームの導入を検討する際には、以下で紹介するデメリットを十分に理解した上で、メリットとデメリットを比較検討し、総合的に判断することが大切です。

 

3-1. 価格が高い

フェノールフォームのデメリットの1つは、ほかの断熱材に比べて価格が高い点です。この価格の高さは、高性能な素材であることや、製造工程の複雑さが主な理由です。特に、厚みのある製品や高密度の製品は、さらに価格が高くなる傾向があります。

一方で、初期コストは高いものの、長期的な視点で見れば、高い断熱性能による光熱費の削減効果や、建物の長寿命化など、トータルコストで優位になる場合もあります。そのため、初期費用だけでなく、長期的なランニングコストも考慮して判断することが重要です。

 

3-2. 紫外線に弱い

フェノール樹脂はプラスチックの一種であるため、紫外線によって分解される性質を持ちます。つまりフェノールフォームは、紫外線に長時間さらされると、表面が劣化する可能性があります。

一方で、通常の住宅施工においては、外壁材で覆う形でフェノールフォームを設置するため、紫外線が直接当たるケースは少なく、過度に心配する必要はないでしょう。

 

3-3. 衝撃に弱い

フェノールフォームは、衝撃に弱く、割れやすいという性質があります。

運搬時や施工時に強い衝撃が加わると、破損する可能性があるので、施工会社は慎重に扱っています。

 

3-4. シロアリに弱い

フェノールフォームは、シロアリの食害を受ける可能性が一定あります。

しかし、ほかの断熱材と比較して特に弱いというわけではなく、発泡プラスチック系の断熱材を使用する場合はシロアリ対策が基本的に必要です。

 

4. ほかの発泡プラスチック断熱材には何がある?

発泡プラスチック断熱材は、プラスチックを発泡させて製造された断熱材で、軽量で断熱性に優れているのが特徴です。代表的な種類として、以下のものがあります。

発泡プラスチック断熱材の種類 メリット デメリット
ビーズ法ポリスチレンフォーム
  • ほかの発泡プラスチック系断熱材に比べて比較的安価です。
  • 非常に軽量で、扱いやすいです。
  • 比較的吸水性が高いので、湿気の多い場所では性能が低下する可能性があります。
  • 燃えやすく、火災時には有毒ガスを発生する可能性があります。
押出法ポリスチレンフォーム
  • ビーズ法よりも断熱性能が高いです。
  • 吸水性が低く、湿気に強いです。
  • ビーズ法よりも価格が高いです。
  • ビーズ法と同様に燃えやすいです。
硬質ウレタンフォーム
  • 非常に高い断熱性能を有しています。
  • 現場発泡の場合は、隙間なく施工できるため、高い気密性を確保できます。
  • 比較的価格が高いです。
  • ほかの2つと同様に燃えやすいです。
    一般的な硬質ウレタンフォームは燃焼しやすい特性がありますが、難燃処理が施された製品もあり、使用環境によっては安全性を高めることが可能です。
  • 経年劣化により、断熱性能が低下する可能性があります。

ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)は、ポリスチレン樹脂のビーズを発泡させて成形した断熱材で、発泡スチロールとして広く知られています。

押出法ポリスチレンフォーム(XPS)は、ポリスチレン樹脂を押し出して成形した断熱材で、ビーズ法よりも気泡が小さく、密度が高いのが特徴です。

硬質ウレタンフォームは、ウレタン樹脂を発泡させて成形した断熱材で、現場で吹き付けて施工するタイプと、工場で成形された板状のタイプがあります。

ほかにも、ポリエチレン樹脂を発泡させて成形した断熱材で、発泡スチロールに似た外観を持つ「ポリエチレンフォーム」などもあります。

 

まとめ

フェノールフォームは、高い断熱性・難燃性に加え、性能劣化が少なく、水分や湿気に強く、施工性も高いという、非常に優れた断熱材です。

価格はやや高めですが、その分、長期的な視点で見れば、省エネ効果・安全性向上・建物の長寿命化など、多くのメリットがあります。住宅の断熱を検討する際には、フェノールフォームは有力な選択肢の1つと言えるでしょう。

フェノールフォーム以外にも、市場にはさまざまな発泡プラスチック断熱材があります。それぞれにメリットとデメリットがあり、用途や予算、求める性能によって最適な断熱材は異なります。断熱材を選ぶ際には、これらの情報を参考に、総合的に判断することが大切です。

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