注文住宅Q&A
Q&A羊毛断熱材とはどのような素材?使用するメリットや注意点を解説
羊毛断熱材は、天然素材であるウールを原料とした断熱材で、近年、環境に優しい断熱材として注目を集めています。断熱材は、家屋の快適性を高めるために欠かせない素材ですが、特に羊毛断熱材は、調湿効果や吸音性、難燃性といった多くの特徴を備えています。断熱材にこだわり、持続可能で健康に優しい住まいづくりを行いたい方は、羊毛断熱材を選択肢に加えてもよいでしょう。
当記事では、羊毛断熱材の特徴やメリット、導入時の注意点について詳しく解説します。理想の家を作りたい方は、ぜひ参考にしてください。
1. 羊毛断熱材とは?
羊毛断熱材とは、主に天然素材を原料として生産する断熱材の一種です。多くの羊毛断熱材は、天然ウールに一定割合のポリエステルやフリースなどを配合して加工し、生産されます。ただし天然素材の配合比率は製品によってさまざまで、中には100%天然ウールの羊毛断熱材も存在します。
羊毛断熱材は、衣類として流通できなかった天然ウールを使用した「バージンウール」と古着を使用した「リサイクルウール」の2種類に分類できます。リサイクルウールのほうが一般的には、安価に調達可能です。
1-1. 断熱材の種類
そもそも断熱材とは、伝導・対流・放射などによって熱が伝わることを防止して住宅の快適性を高めるため、壁・天井・屋根などに採用される素材です。以下は、家づくりで採用される断熱材の主な種類と具体例を示します。
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- 繊維系断熱材
繊維系断熱材とは、鉱物や木質系素材を繊維状に加工して隙間部分に空気の層を作り、断熱性能を高める断熱材です。たとえば、グラスウール・ロックウール・セルロースファイバーなどが繊維系断熱材に分類されます。
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- 発泡スチロール系断熱材
発泡スチロール系とは、ポリスチレン樹脂やポリウレタン樹脂などを発泡させた後に固化させて生産する断熱材です。ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)・硬質ウレタンフォームなどが発泡スチロール系断熱材にあたります。
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- 天然素材系断熱材
天然素材系断熱材は、素材がもともと持っている特性を生かして断熱効果を得ます。
羊毛断熱材は、上記のうちの「天然素材系断熱材」に分類されます。断熱材の選択には正解がなく、建築会社によって推奨する種類が異なることも珍しくありません。選択に迷う場合は建築会社とよく相談し、特徴を理解した上で、自分の目指す家づくりにマッチするかを判断しましょう。
2. 羊毛断熱材を使うメリット
羊毛断熱材には断熱性や調湿効果、耐久性などの点において、多くのメリットがある断熱財です。ここでは、羊毛断熱材を採用して家づくりを行う主なメリットを詳しく解説します。
2-1. 断熱性が高い
天然ウールは、セーターやマフラーなどにも採用される断熱性の高い素材です。羊の毛は、1本の毛が真っ直ぐになっておらず、縮れた形状をしているという特徴を持ちます。縮れた毛同士の絡まる部分に空気がとどまるため、高い断熱効果が期待できます。
断熱材の断熱性能は、一般的に熱伝導率(熱の伝わりやすさ)で示されます。羊毛断熱材の熱伝導率は製品によって多少の違いがあるものの、多くの場合、高性能な繊維系断熱材や発泡スチロール系断熱材に引けを取らない水準です。
2-2. 調湿効果がある
天然ウールは水分保持能力も高い素材にあたり、羊毛断熱材には一定の調湿効果を期待できます。調湿効果とは、室内の湿度を一定に維持する働きのことで、羊毛断熱材は湿度が高い日には天然ウールが水分を吸収し、低い日には保持した湿気を放出する効果があります。
調湿効果が期待できる断熱材を使用することで、室内の結露の防止も可能です。室内の結露はカビやダニの発生につながるので、断熱材で調湿を行えるのは大きなメリットです。
2-3. 省エネにつながる
羊毛断熱材を使用して住宅の断熱性や調湿性を高めると、冷暖房効率が向上します。冷暖房効率の向上によって、エアコンの使用時間を短縮したり使用頻度を減らしたりできるので、省エネにもつながります。
省エネは、近年の家づくりにおいて欠かせないキーワードの1つです。改正建築基準法によって2025年以降に新築する住宅に対しては、省エネ基準への適合が義務化されています。
出典:国土交通省「建築物省エネ法 木造戸建住宅の仕様基準ガイドブック」
省エネ基準に対応した羊毛断熱材を適切に使用すれば、時代のニーズに合う形で住宅を設計できます。
2-4. 耐久性が高い
羊毛断熱材は、実用寿命が50年以上とも言われるほど耐久性の高い断熱材です。多くの羊毛断熱材は耐水性も高いことから高温多湿の日本の風土と相性が良く、経年劣化しにくい断熱材にあたります。
また、羊毛断熱材の原料である天然ウールは、消防服に使用されるほど難燃性の高い(燃えにくい)素材である点も特徴です。一部の羊毛断熱材は、防火構造認定も取得できるためおすすめです。
2-5. 吸音性が高い
羊毛断熱材には吸音性が高いという特徴もあり、適度な厚みを持たせて住宅の壁に採用することで、住宅に一定の防音性を持たせられます。吸音とは、音波の反射を抑えることで周囲に漏れる騒音を低減する働きです。羊毛断熱材を使用して吸音・防音性の高い住宅を設計すれば、楽器の演奏や大音量での映画鑑賞も安心して楽しめます。
また、羊毛断熱材は、住宅外部の音を室内に通しにくい特徴も持つ断熱材です。羊毛断熱材を使用して住宅外部の音が気になりにくい環境を整備すると、生活していく上でのストレスを軽減できます。
2-6. 体に優しい
多くの羊毛断熱材は生産過程で接着剤や防腐剤を使用しないことから、ホルムアルデヒドの発散がなく、人間やペットの体に優しい断熱材です。羊毛断熱材は調湿性に優れた特徴を持つため、カビやダニの発生防止策としても有効です。ホルムアルデヒド・カビ・ダニはいずれも、シックハウス症候群を引き起こす一因であり、さまざまな健康被害をもたらす可能性があります。
羊毛断熱材は、小さな子供と一緒に安心して生活できる住宅を設計したい人にも向いている断熱材と言えるでしょう。
3. 羊毛断熱材の注意点
羊毛断熱材にはさまざまなメリットがあるものの、新築する住宅に採用する上でのデメリットや注意点も存在します。羊毛断熱材を採用して後悔しないためにも、以下の注意点を理解しておきましょう。
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- コストが高い
羊毛断熱材を使用する場合のコストは、1m2あたり2,500~3,000円程度が相場です。工場で大量生産できる断熱材と比較して、一般的にコストはかさむ傾向があります。
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- 取り扱い業者が少ない
建設会社は同じ種類の断熱材を継続的に使用して、家づくりを行うことが通常です。羊毛断熱材は比較的新しい断熱材にあたることから、取り扱い業者が限定されます。
羊毛断熱材は下記に該当する人におすすめの断熱材です。
- コストが多少かさんでも、体に優しい断熱材を希望する人
- 吸音性や吸湿性にこだわりがある人
ただし、業者同様、羊毛断熱材を適切に扱える職人も少ない傾向にあります。満足度の高い仕上がりを目指すには、経験豊富な職人の在籍している依頼先を探しましょう。
羊毛断熱材を採用した場合のコストを少しでも軽減したい場合は、複数の業者に無料見積もりを依頼するのがおすすめです。同じ断熱材を使用しても建設会社ごとに見積もり価格には多少の違いが生じるため、複数社を比較して、コストパフォーマンスの良い依頼先を探してください。
まとめ
羊毛断熱材は、環境負荷が少ない天然素材を用いた断熱材で、住宅の快適性や省エネ性能の向上に役立つ選択肢として注目されています。断熱性、調湿性、吸音性に優れ、ホルムアルデヒドを発散しないため、住環境や健康への影響も少ないのが特徴です。
ただし、コストがかさみやすかったり、取り扱い業者が少なかったりする点には注意が必要です。羊毛断熱材を採用する際は、経験豊富な業者と相談しながら、きちんと見積もり比較を行いましょう。
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